月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
あたしたち捜査陣も同じ感想を抱いたのだ。

しかし田村の遺留品から見つかった切符は、確かに特急東海1号のものだった。

そしてその行く先は静岡だった。

「じゃあ、田村は…」

達郎が言わんとすることがわかったあたしはうなずいた。

「特急東海1号は11時7分に静岡に到着。田村はその後、11時20分発のこだま417号に乗り換えて、掛川に向かったと思われるわ」

「ちょっと待て。静岡‐掛川間ってたったひと駅だろ。新幹線に乗り換える意味あるのか?」

あたしは首を振った。

「わからないのよ。他の捜査員からは別の切符を握らされたって意見も出たんだけど…」

つまり犯人によるなんらかのカモフラージュではないかという事だ。

「でも田村の部屋を家宅捜索したところ、時刻表やメモが出てきてね…」

「そこには東海1号からこだま417号に乗換えするルートが載ってたってことか」

あたしはうなずいた。

「この乗換えは田村自身が考えたと思われるわ」

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