月と太陽の事件簿12／新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49･1キロの謎

「妙な乗換えをした理由も聞けるしな」

「そういうこと」

不謹慎な言い方だが、まさにそんな状況だ。

「49･1キロの謎か…」

「なんだそりゃ」

「静岡から掛川までの距離よ。捜査してるうちに知ったの」

この1区間だけを、容疑者で被害者の田村清は、どうして新幹線に乗り換えたのか。

『静岡‐掛川間49･1キロの謎』

なんかサスペンスドラマのサブタイトルにうってつけね…などとアホなことを考えていたら、達郎がやおらイスから立ち上がった。

「実際にやってみよう」

達郎はクローゼットからジャケットを出しながら言った。

「実際にやるってなにを？」

「田村がやった、不自然な乗換えだよ」