月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
その瞳に憂い以外の何かが浮かんでいた。

あたしにはそれが光に見えた。

まるで謎‐この事件のすべての謎を解き明かさんとする強い意志が、光となっているようだった。

やがて乾いた音がした。

達郎が缶コーヒーを開けた音だった。

そのまま一口飲む。

達郎は軽く息を吐いた。

「レミ、警視庁に連れていってくれ」

達郎が不意にこちらを向いた。

「あ、え…?」

「事件のあらましが見えたんだ。捜査班長の岸警部に説明させてくれ」

「あ、はいはい…!」

あたしはあわてて携帯を取り出した。

岸警部に電話をかけながら、あたしは達郎から顔をそむけた。

頬が熱い。

顔が真っ赤になっているのがわかる。

達郎には絶対に見られないようにしないと。

推理する達郎の横顔に見とれてたなんて、絶対に気付かれてたまるかッ。

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