月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
49.1キロの謎
捜査一課会議室。

達郎はあたしと岸警部を椅子に座らせ、自分はホワイトボードの前に立った。

「まずこの事件の不可解な点を潰します」

達郎はホワイトボードに【東京‐静岡‐掛川】と書いた。

「それは田村清が静岡で特急電車から新幹線に乗換えたこと」

あたしと岸警部はうなずいた。

静岡‐掛川まで、1区間だけ新幹線に乗換えるのは不自然に見えた。

それ故に、最初それは田村清殺害犯のカモフラージュに思われた。

しかし捜査の結果、この乗換えは田村自身によるものだとわかった。

「田村が何らかの隠蔽工作を行なったのでは、という考え方もある」

岸警部はそう言った。

何をかくそう、それを言い出したのは岸警部本人だった。

それはやはり、田村清に小林誠殺害の容疑がかかっているからだろう。

「いいえ、警部」

達郎は首を振った。

「田村清はなにも隠そうとしていませんよ」

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