月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
「この料金のカラクリは、鉄道ファンには常識らしい」

達郎も感心した様子で言った。

「となると…」

腕組みをしながら岸警部はうなった。

その巨体ゆえに、熊が唸り声をあげているようだった。

「達郎くんが言ったように、田村清は本人にとっては当たり前の行動をとったわけか」

「田村清は鉄道ファンでしたからね」

「田村の乗換えの謎は解けたわ。でも結局のところ、2人は誰に殺されたの?」

あたしは事件の核心へ触れた。

「お互いさ」

達郎はホワイトボードに田村と小林の名前を書き、矢印で結んだ。

「お互いがお互いに殺されたんだ」

頭の中に?マークが無数に浮かぶ。

「達郎くん、それは…」

警部もあたしと同じ状況に陥ってるようだった。

「どちらかが先に仕掛け、もう一方はそれに対して報復をした」

達郎はホワイトボードに向き直り、マジックを持つ右手をあげた。

「先に仕掛けたのは…こいつだ」

達郎は小林の名を○で囲んだ。

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