月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
「田村は乗り継ぎ割引きを利用しただけ。となると、先に仕掛けたと考えられるのは小林だ」

「ちょっと待って、小林が乗っていたのはひかり号よ?」

田村が乗っていたこだま号ではない。

小林に田村を襲うことはできないはずだ。

「確かに小林は、周囲に対して、10時25分発のひかり78号に乗ることをほのめかしていた。実際に持っていたグリーン席のチケットも、改札にて検札済みだった」

しかし、と達郎は言葉を続ける。

「ひかり号のチケットを持っていても、こだま号には乗れるだろ?」

あたしはハッとなった。

「小林が乗ったのはひかり78号でなくて、こだま417号だったのね!?」

「恐らくは、な」

言葉とは裏腹に、達郎は大きくうなずいた。

「なるほど。こだまの自由席なら検札に来ない限り問題はない。仮に検札に来たところで、適当な理由をつけて、こだまのチケットを買うなりすればいいだけだ」

岸警部も合点のいった表情でうなずいた。

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