月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
「確かに達郎の推理通りなら、時間のパラドックスは解決できるわ。でも小林がひかりではなく、こだまに乗ったという証拠はあるのかしら?」

あたしの疑問に対し、達郎は指を3本立てた。

「あの日、小林はニット帽をかぶり、サングラスをかけ、マスクをしていた」

「?」

「おそらく人相を隠すためだろうが、逆に3つの特徴があるとも言える」

顔だち等は曖昧でも、ニット帽やサングラス、マスクといった小物なら人はハッキリと覚えているはずだと達郎は語った。

「小林の服装ともあわせれば、目撃者のひとりふたりは見つかるかもしれない」

「それはそうかもしれないけど…」

そう簡単に見つかるかしらと、言葉を続けようとしたその時、

「何を言ってるんだ、日野!」

岸警部の怒声にあたしは身を固くした。

「足を使って聞き込みをし、目撃者や証拠をひとつひとつ積み上げていくのが、我々刑事(デカ)の仕事だろうが!!」

…!

警部の言う通りだ。

< 39 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop