月と太陽の事件簿12/新幹線殺人事件 静岡‐掛川間49・1キロの謎
掛川駅に降りると、静岡県警の刑事があたしたちを出迎えた。

中肉中背で丸顔だが、口もとは引き締まっており、なかなか貫禄の持ち主だった。

「わざわざすいません」

頭を下げて自己紹介されて驚いた。

相手は県警の刑事部長だったのだ。

県警の刑事部のトップが出迎えに来るなんて滅多にない。

「第一発見者の方はこちらに通してあります」

刑事部長はあたしたちを駅長室に案内した。

駅長室に入ると、その応接間のソファに、黒スーツを着た男性が座っていた。

こちらに背を向けているので顔は見えない。

その向かいに座っていた制服姿の男性が、あたしたちの姿を見とめて立ち上がった。

男性は掛川駅の駅長だった。

「この度はどうも…」
駅長は恐縮し切った様子だった。

単なる事件の発見者の応対に、県警の刑事部長と駅長が動いたか。

掛川駅に着いた時、あたしは第一発見者の名前を岸警部から聞いた。

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