Linaria【極短】



「あーあ…」


屍累々。


酒を抱えたまま研究室の床に転がっている卒業生だとか在学生だとかを踏まないように気をつけながら毛布をかけてまわる。

ただ今午前4時を少し回った所。


机につっぷす広い背中を見つめる。



『俺のデスクはお前にやるからな!!感謝しろよー!!』


そういって机を引き継いだのは昨日の事。

まだ全然片付いてなくて笑った。

結局まだ私は一度も座ってないその机は今は先輩のいた面影もなく、まっさらに片付けられていた。



「いなく、なっちゃう」



もう振り向いてお菓子を投げつけてくることも

酔っ払って踊り出す事も

よくできたなって、頭を撫でてくれる事もない。



「いなく、ならないで」



隠していた気持ちが


わずかに残るアルコールと

夜の静けさに暴かれていく



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