絶対純愛主義
そんな気持ちのまま佐伯くんと遊びに行った帰り、佐伯くんが今までにない言葉を言った。

「家まで送るよ」

私の手を自然なしぐさで握るとニコっと笑う。

私は熱くなった頬を見られたくなくて慌てて頷いた。

もしかして…これはっ…。

ほのかな予感が胸をよぎる。

どうしよう?
どうしたらいい?

いつもと何ら変わらない佐伯くんの隣で一人悶々と思い悩む私。

いやいや、考え過ぎの先走り過ぎだよ。

友達だって手を繋ぐ事もある。


そんな私と佐伯くんの前にふっと影が射した。

「真帆。迎えにきたぞ」

貴斗っ!?
どうしてここに!?
それに何言ってんの!?

貴斗は佐伯くんに視線を向けると、空いてる私の手首を握るなり自分に引き寄せる。

その強引さに驚いたのか佐伯くんが私の手を離したから勢いづいた私は貴斗の胸に飛び込んでしまった。

「菅原、またな」

貴斗に抱き止められたままの私に落ち着いた口調で告げると、佐伯くんは踵を返して行ってしまった。
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