絶対純愛主義
焦る私に近づいてきた貴斗は自分の唇を指差した。

「ここにお礼して」

それって…キスだよね…。

思わず握っていたタオルで唇を隠した。

「前に一回しちゃってるしいいよね?」

うっ!
そう言われると拒否れないじゃん!

「俺からしてもいいけど、それじゃお礼にならないっしょ」

追い詰められる私。

「どーした?ほれほれ」

唇を突き出す貴斗の頬をつねってやりたかったけどグッと我慢した。

これは…しなきゃいけないのか…な…。


「…そんな風にしたら出来ないじゃん…」

チャラけた感じで私を茶化していた貴斗は驚いたように目を丸くした。

「恥ずかしいから目閉じて」

貴斗の頬に手を添えると瞼が閉じられる。

コクッと小さく喉が鳴った。
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