絶対純愛主義
貴斗の唇が近づくにつれ心臓の音が聞こえるんじゃないかと思うぐらい波打ってる。

ほんの僅かな時間、唇が触れ合って貴斗の頬と唇を離した。

緊張と恥ずかしさで目が潤む。

貴斗が私の頭に手を乗せて小さく微笑んだ。

「泣くほどイヤだった?」

「イヤなんかじゃ…ない」

イヤだったら最初から断ってる。

「もし…さ、俺が…」

言いかけて口をつぐんだ貴斗は

「やっぱいい」

そう言ってキッチンに行ってしまった。

何が言いたかったんだろう?

貴斗の考えてる事ってわかんないや。

少し落ち着いた私に貴斗が冷たいグラスを手渡した。

「それ飲んだら帰れるよな?」

まだ帰りたくない。

一瞬そう思ってしまった自分に驚いた。

「うん…」

私、どうしちゃったんだろ。

今さらながら貴斗を意識するなんてバカじゃない。
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