絶対純愛主義
貴斗が好きなんだって気づいてからは、図書室に行くのを止めた。

そんな私に佐伯くんが放課後、声をかけてきた。

「菅原、最近来ないけど、どうしたの?」

「あ…うん、ちょっとね…。佐伯くんの邪魔ばっかしてられないし」

「そんな事気にしなくていいのに」

佐伯くんは優しいね。

貴斗は毎日のように違う女の子と一緒にいて私は苦しくなるばかり。

こんな思いをするのが嫌で貴斗への気持ちに目を瞑って気づかないようにしてたのかもしれない。

「菅原、ちょっといい?」

「あ、うん」

佐伯くんに促されて一緒に廊下に出た。

「この前言おうと思ってたんだけど…俺、菅原の事いいなって思ってる。付き合ってほしい」

私の目を見てはっきりと告げる佐伯くんに、貴斗への気持ちに気づく前なら絶対すぐに頷いてた。
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