絶対純愛主義
「うわー…」

流し台に重ねられたままの食器やお鍋に思わず声が漏れた。

どーりで遠慮するはずよね。
おばさんが仕事から帰ってきてこれを見たらキレそう。

「だから…いいって言ってんのに」

バツが悪そうに小声で言う貴斗。

「ホント男ばっかじゃねー」

私はスポンジに洗剤を含ませて洗い始めた。

「あっ、そーだ。洗濯物は?」

この調子だと洗濯もしてないだろう。

洗い物や掃除してる間にやってしまおう。

「まだです…」

やっぱりね。

一旦手の泡を洗い流すと洗面所に向かった。





洗い物はしたし、洗濯機も回してる。

これでおばさんが帰ってきても少しは楽だろう。

その間、貴斗といえば私に言われるがまま働いていた。

「真帆、ありがとな」

ニコニコと笑う貴斗の顔はいつものチャラけた笑顔とは違って年相応の可愛い笑顔だった。

いつもこーゆー顔してたらいいのに。
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