~ 桜 星 ~

そう心の中で

先生に言いながら

行き着けの美容院で振袖への着付けを朝からやった。

振袖は
今日この日のために
祖母がわざわざ銀座まで買って行ってくれた物で
当日の今日まで
見ることはなかった。

祖母にとって
最後の孫が成人するから
楽しみで仕方なかったらしい。

色も教えてもらえないまま
当日の今日
やっと見る事が出来た。

祖母が懸命に
私に似合う色を探してくれたのだ。

色鮮やかな
「赤」でも
「青」でもない。

色々な色が混ざっている振袖。

小物入れのカバンは赤いけど
ほのかにオレンジの色が付いている小物入れ。

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