華の世界

見えなかった


あれから4週間が過ぎた。

私は相変わらずドラッグストアへ通い続けている。


午後6時42分35秒。

今日もそろそろドラッグストアに行く時間だ。
もう少しで午後7時になる。

家を出て、走ってドラッグストアの前まで行ったら
入り口からは少し速度を緩めて店内を歩く。

「今日もあの香水が待っててくれてる」
そう思うと嬉しくて仕方ない。

フレグランスコーナーの前に立ち止まると
端に置かれたオレンジ色の香水瓶をゆっくり両手にとる。

自分でも驚くほどに飽きることもなく、香水を惚れ惚れしながら見つめる私。
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