華の世界
「その香水好きなの?」
……?
突然、誰かが私に声をかけた。
焦って見上げると店員さんが立ってる。
でも…、
あまりにびっくりして声が出ない。
多分今、目をまんまるに見開いて店員さんを凝視しているだろう。
店員さんはさらに話し続ける。
「あ…びっくりさせちゃった?ごめんね。
でもいつも嬉しそうにその香水見てるからさ」
「……っ!」
頭が真っ白になった。
ついで顔も赤だか青だかになりそうだ。
見られてた?
…毎日?
毎日いるの…?
恥ずかしくて気まずくて、何がなんだか
どうしていいかわからない。
とりあえず警戒態勢に入って――…
―結果、走って逃げた。
自分の馬鹿。