華の世界

「その香水好きなの?」


……?


突然、誰かが私に声をかけた。
焦って見上げると店員さんが立ってる。

でも…、
あまりにびっくりして声が出ない。
多分今、目をまんまるに見開いて店員さんを凝視しているだろう。


店員さんはさらに話し続ける。


「あ…びっくりさせちゃった?ごめんね。
でもいつも嬉しそうにその香水見てるからさ」

「……っ!」



頭が真っ白になった。
ついで顔も赤だか青だかになりそうだ。


見られてた?

…毎日?

毎日いるの…?


恥ずかしくて気まずくて、何がなんだか
どうしていいかわからない。

とりあえず警戒態勢に入って――…







―結果、走って逃げた。

自分の馬鹿。

< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop