冷たい夜は桜の色
『その木は春になっても咲かないんだよ・・・』
「どうして?」
『あの木はもう死んじゃってるから・・・。』
少しの間二人の間に沈黙が流れた。
次に沈黙を破ったのは私だった。
『馬鹿だって思ったでしょ私だってわかってる、あの木が花を咲かせない事ぐらい、咲くことなんてないんだってわかってる。
でも今日は咲いてるかもしれない、もしかしたら。
そう思って毎日きているうちにもう冬になっちゃった』
『馬鹿だよね。冬に桜が咲くわけなんてないのにね』
私の話を真剣な顔をして聞いてくれる隆。
「じゃぁなんで毎晩ここに来てんだよ?」