冷たい夜は桜の色

夜が来て私は部屋を出た。

そしていつも通りの足取りで向かう。

部屋の外は体が震えるほど寒く指の先がほんのり赤くなっていた。

今日は温かいココアにしようかな。

そうしていつもの場所に着くと、ココアを買った。

冬の自動販売機のココアは手では持てないほど熱い。

トレーナーの袖を使って持ち上げ、手の中でコロコロと転がす。


「美加ちゃん!」


その声は突然訪れた。

自分を呼ぶ声がし、振り返ると


た・・か・・・?


そこには鼻を真っ赤にした隆がいた。

走ってきたのだろうか少し呼吸が荒い。


なんで?

隆は私を嫌いになったんじゃなかったの?なんでここにいるの?

どうしていいかわからない私は隆を見たまま固まってしまった。

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