冷たい夜は桜の色
《こんな夜中に二人してらぶらぶして、若いっていいわね~?ねぇ隆?》
振り向いた先には三船さんがするどい視線をみなぎらせて立っていた。
三船さんは美人で病院内ではちょっとした有名人だ。
少し、いやかなりのSだ。年齢は二十代後半ぐらいだが詳しくは知らない。
私たちを廊下に正座させた張本人でもある。多少やりすぎなところもあるがとてもいい人だ。かくいう私たちもかなりお世話になっている。
《あなたたちこの病院は消灯したら出歩きは禁止されているのはしっているわよね?いくら馬鹿なあなたでもわかるでしょ?隆?》
「えっ?なになんで俺だけに言うんですか?」
《だってあなたバカじゃない?それよりさっきのお話私も聞きたいなぁ隆話聞かせてもらおうか》
「ちょっ、いや、えっ?」
《美加ちゃんは遅いから部屋に帰りなさい?明日も朝から検査が待ってるんでしょ?》
『は~い。わかりました~。んじゃ隆そういう事だからまたね』
私は隆にそういうとベンチから立ち上がった
「あ~そうだった。俺も明日朝から検査が・・・!!??」
そう言って立ち上がろうとした隆の首を三船さんが掴んだ
「あの~三船さん?苦しいんですけど・・・」
《あら?ごめんなさい。バカは苦しさを知らないと思ってたけどちゃんとわかるのね。まだ話たりないでしょ?私がゆっくり話を聞いてあげるわ。寒い寒い廊下でね》
あぁ三船さん完璧に切れてるな。隆はこれから地獄を見るだろうな。隆どんまい!
私は三船さんの見えない所から隆にどんまいと口だけ動かしていった。
「た、たすけて美加!!」
《ほらいくよ?隆》
そう言って三船さんが隆を引きずっていく。
「美加ぁぁあああ裏切り者~いやぁあああああ」
この日病院に隆の断末魔が鳴り響いた。