冷たい夜は桜の色
非日常
今日も目を覚ますといつもの病院だった。
それは当り前なのだけれど、私は目をこすりながらカーテンを開けた。
外を見るために窓に顔を近づけると窓が曇った。
外はまだまだ寒く、寒いのが苦手な私には厳しい季節だ。
私は身を震わせると、冷えた手を息で温めながらベットに戻った。
しかし病院というのは退屈なところである。
することもなくひたすら時間がたつのを待つしかない、だからと言っても私にはしたいことも好きなこともない。
仕方なく私は音楽を聴くことにした。
お気に入りの曲を選択して、イヤホンを耳につける。
すると心地よいメロディーが流れ始めた。
少し古いバラード、女性の歌うやわらかで透き通るような高音が私の中に物語を話すように流れてくる。