空を見上げて
信也は決して友達がいない訳ではなかったが、一人でいることが多かった。
たまにうつむいた表情で一人空を見上げていることがあり、何を考えているかわからない面もあった。
愛美はなかなか人に心を開かなかったが、信也のさっぱりとした性格に引かれ、よく一緒にいるようになった。
『一人ぼっちはいやだ。お母さんに会いたい。』
ある日愛美がそうぼそっと呟いたとき、
『一人ぢゃないよ。』
と思いもよらない信也の言葉。
『・・・・・え?』
『一人ぢゃないよ。俺がいるぢゃん。』
『信也君・・・が・・?』
『うん。俺がついてるから一人ぢゃないよ。』
整った顔をくしゃっとさせ、陽気に微笑む信也。
愛美はその言葉に救われた。