天国の丘
レナが隣で羨ましそうな眼差しを送っているのが判った。
「おやまあ、アンタ達知り合いだったのかい。
そういう事ならテーブル席を一つ用意しなきゃね」
と、マーサが気を利かしてくれ、ピアノの前の空いたテーブルを僕達の為に用意してくれた。
物言いた気なレナを見て、僕は彼女に声を掛けた。
「ねえ、そのぉ、迷惑じゃなかったら、一緒にあっちのテーブルで飲まないかい?」
「えっ!?私を誘ってくれるの?」
「昔から袖すりあうのも多少の縁って言うし、それにお互い既に名前を名乗り合ってるわけだし。あっ、勿論無理にとは言わないよ。この後、彼氏とかと予定があったりとか……」
「迷惑とか無理なんて事無いし、勿論ボーイフレンドはいないからこの後の予定も無いわ。だから、喜んで招かれるわよ」
レナは飛び上がらんばかりの勢いで立ち上がり、僕の腕を取って、
「さあ、行きましょ!」
と言った。
まるで僕の方が彼女にリードされてるみたいだ。
マーサが用意してくれたテーブル席に、リサとリュウヤさんが先に座っていて、僕とレナが来るのを待っていた。
二人に彼女の同席の許しを求めると、快くOKしてくれ、リサの隣の席を奨めてくれた。
僕が彼女とリュウヤさんの間に座ると、彼が肘で突っつきながらニヤニヤした顔で冷やかした。