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「あーん。返してよぉ」

高く掲げた缶を取り戻そうと俺の目の前でピョンピョン跳ねる倫の胸が俺の胸に当たった。

あれ?
こいつ見かけによらず胸がある…?

ふらつく足で飛び跳ねてるから案の定着地時によろめいて転びそうになった倫を支える。

「あーん。ビールぅ」

「暴れんな」

俺の腕がモロに胸に当たっているのに全く気にする様子はない。

こいつ、酔うと全くの無防備じゃん。
だから飲むなって言ったのに。



この前、ちょっと酔ってた倫に俺がイタズラをしてみたら全くの無反応。

翌日、同じ事をしたら見事な悲鳴を上げた。

こうも態度が違うのは酒が原因に違いない。

こんなのを野放しにしてたら、そのうち誰かにお持ち帰りされるのがオチだ。

俺が困る訳ではないけど、酔いの覚めた倫がどれだけ落ち込むかも想像がつくし、同居人としては家の雰囲気が暗くなるのも面白くない。

未然に防げるものなら防ぎたいが、今の理性の効いてない自由奔放な倫に何を言ってもムダな気もする。

腕の中で暴れる倫を見てどうしたもんかとため息をついた。
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