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「実家から持ってきちゃった」

イタズラっぽく笑う倫につられて、つい笑顔を浮かべそうになった俺は慌てて首を振った。

「こんなもん、どーすんだよ」

「そりゃ、飲むに決まってるでしょーよ」

しれっと言う倫に、急いで酒瓶を奪い取る。

「お前、まだ未成年だろ!酒癖わりーくせに飲みたがるなよ」

「もう20才だもん」

ぶーっと頬を膨らませて恨めしげに俺を睨む。

「だってさ、怜が外で飲むなって言うから全然飲んでないんだよ?お正月ぐらいいいじゃん」


確かに…。
俺の言い付けを守って、外での付き合いにもジュースで我慢してるらしいのは知っている。

…正月ぐらい、いいか…。


抱きかかえていた酒瓶をテーブルに戻し、倫に言った。

「グラス取ってこいよ。二人分な」

ニコーッと笑って倫は席を立つ。

ま、酔っ払っても家なんだしどーにかなるか。

そう考えた俺は自分の甘さを思い知るはめになった。
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