ルームシェアリング
「あんただって、何だか急いで部屋を探す理由があるらしーじゃん」

不動産会社に問い合わせた時にそんな事を言ったかも。

確かにあの満員電車には乗りたくない。
だからと言って初対面の、少し失礼な男と同居なんてのもあり得ない。

せっかく親も説き伏せたのに…。

佐々木さんの言葉に余計気落ちした。

「ま、無理に勧めはしないけど」

クルッと私に背を向けた佐々木さんの袖を無意識に掴んでしまった。

「あ…」

「何?」

結局、佐々木さんの思惑通りなんじゃないの、これ?

でも…でも…もうこんな条件のいい部屋は見つからないかもしれない。

「俺だってあんたがダメならまた次を探さなきゃなんねーんだ。この際あんたの性別に拘ってられねーの」

袖を握ったまま、まだ迷ってる私に佐々木さんの顔が近づいた。

「どーする?」

「………お世話に…なります」

こうして私は佐々木さんとの同居生活を始める事になった…。
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