天気予報は暴風のち…Love!?
いままで経験した事のない感覚が私を襲う。

藤沢愁の吐息と舌が奏でる音に神経が支配されそうでキツく目を閉じた。

「ふ…ッ…」

無意識に唇から洩れた声の甘さに自分でも驚き、唇を手で塞いだ。

こんなの私じゃない。

私の耳を弄んでいる藤沢愁にこれ以上醜態を見せたくなくて必死に自分を抑えるけど、少しでも気を弛めたら声が洩れそう。

そんな私に焦れたのか藤沢愁の唇が私の唇に重なる。

こんな事されてるのに藤沢愁に嫌悪感が湧かない。

そんな自分に嫌悪する。

私には輝くんがいるのに。
こんな事が輝くんに知れたら…!

そう思った時、ようやく藤沢愁を押し戻そうと腕を伸ばした。

「お前に拒否権なんてねーだろ?」

『拒否権がない』

その言葉は、輝くんがいるにも関わらず藤沢愁とこんな事になっている私には免罪符のように響いた。

「本当に…卑怯者…ッ」

口に出したのは藤沢愁に向けてじゃない。
自分にだ。

藤沢愁に心を乱されて、でもそれが嫌じゃなくて。
そのくせ、それを輝くんに知られたくない私。
卑怯でしょう?
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