天気予報は暴風のち…Love!?

・日常と非日常

「寒…」

藤沢愁がいなくなった屋上は急に寒さを増して私は首をすくめて自分をかき抱いた。

藤沢愁に触れられた瞬間、心を占めたのは優しい温かさ。

輝くんへの罪悪感すらも浮かばなくて、その温かさに浸っていたかった。

私、どうしちゃったんだろう。

輝くんにも感じた事のない、この気持ちにただ戸惑うばかり。

小さくため息をついて、私も校舎へと戻った。








今日は輝くんとデート。

でも私はあの日以来、輝くんといても楽しいって思えなくなっていた。

ふと思い浮かぶのは藤沢愁の顔ばかり。

こんな私、輝くんに失礼だよね。

輝くんは私がまたピアスをしている事に顔を曇らせたけど、何も言わなかった。

藤沢愁が私に着けたピアスは、まるで『俺を忘れるな』と言ってるような気がする。

藤沢愁は私にとって『非日常』だ。

だから憧れずにはいれないのかもしれない…。
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