天気予報は暴風のち…Love!?
冬の日没は早い。

時間はそんなに遅くないのに、もう辺りは暗くなって街灯がポツポツと灯り始める。

そんな中、私と輝くんは公園の遊歩道を歩いていた。

「一気に暗くなっちゃって寒いね」

マフラーに鼻まで埋める私を輝くんが可笑しそうに見ている。

「果穂って寒がりだよな」

「輝くんは寒くないの?」

「そりゃ、寒いさ。でも果穂ほどじゃない」

スッと私に寄り添った輝くんに肩を抱かれた。

「こうすれば暖かいだろ?」

少し照れた口調で呟いた輝くんに小さく頷く。

確かに身体はほんのり暖かい。
でも…藤沢愁に抱きしめられた時みたいに心まで温かくならないよ…。

輝くんはこんなに優しいのに…。



「果穂」

ふいに立ち止まった輝くんを見上げると、マフラーをずらされ冷気に晒された唇にキスが落ちてきた。

ニコッと笑った輝くんはマフラーを元通りにして、また歩き始める。



胸が苦しい。
胸が痛い。

今すぐ藤沢愁に会いたいよ……。
< 26 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop