sence:color of green


「なんで音を奏でとるんや?」

少年は固まった

少年は音楽界ではそこそこ有名で
音楽関係の質問には嫌というほど
答えてきた
しかし、こんな風に自分が何故
音楽をしているのかと
こんなに直球で問いかけられたのは
初めてだった

「・・・なんで、ってなんだよ?」

動揺が隠せず少し汗ばんだ声で問う
そんな少年に彼女は平然と答える

「ほら誰しもなんかしらやるんなら
それなりに理由ってあるやろ?
歌が好きだからーとか
ギターかっちょええとか
そーゆーこっちゃ」

「なんで・・・んなこと、聞くんだよ」

彼女は少し俯いて、それから躊躇いがちに口を開いた


「・・・空っぽやねん」

「えっ」


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