夜明けのカンタータ《詩集》
ラブソング
片方のイヤホン
零れおちる甘い声
夕日の熱に目を細めたきみが
「くだらないラブソングね」
とつぶやいた
夕焼け
自転車
二人乗り
川沿いはいつも通り
穏やかでまぶしくて
どちらにもなれないぼくらを
微笑みながら嘆いてる
「くだらないラブソングね」
ぼくの背中に寄りかかる君が
涙交じりにつぶやいた
夕焼けはいつだって
ぼくらを置き去りに
不器用なやさしさしか くれない