夜明けのカンタータ《詩集》
振り返れば
へたくそな鼻唄
あふれそうだった涙もひっこんで
なんだか笑えてしまう
長くなっていく影を見つめながら
きみと手をつないで歩く
つないだぬくもりから
名前のない悲しみが零れた
さようなら
なんて
かさかさの唇でつぶやいて
目をとじた
たしかめるように力がはいった
私の手を握る君の手
心のとびらがひらいて
熱いなにかが頬をつたった