夜明けのカンタータ《詩集》
生命
幸福のなかにいて
出来合いのかなしみをみせびらかせて
いたい
いたいと
泣いた
折れたペンから零れたインク
もう線を描けないペン先
愛していた音さえぷつんと途切れて
降り注ぐことのないまま
過ぎていく日常
大丈夫
僕を忘れればいい
傷口をなめたあと
囁いた貴方の言葉が
ただ沈黙だけがのこるわたしの部屋に
小さな染みをつくる