夜明けのカンタータ《詩集》
かけら

たくさんのなみだのかけらを
踏みつけて
砕いてきた

目から零れ落ちる透明は
弱さの証だと笑う誰かに

いつもいつだって
言い返すことができずに

ぴったりと窓をしめて
カーテンをしめて

それでも
夕方六時
部屋をつつむ橙に


ただただ

なみだを流していた



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