君が姫で私が王子
なんだ......やっぱり、ただの憧れだったんじゃん。
なのに私は、デートだって浮かれて......

優は無理して付き合ってくれてたんだ......



「渚!」
不意に後から抱き締められる。
......優だ......

「嫌!離して!迷惑だったんでしょ?忘れたいんでしょ?」
私は、優から離れようと必死に抵抗する。

「やっぱり話聞いてたんだ......だって、忘れたいでしょ?好きな子守ろうとして、飛び掛かって行ったら、あっさり自分がやられたなんて......そんな情けない事。」

腕の力を強めて言う。

え......好きな子って。

「でも、デートじゃないって......」

「だって、僕まだ告白してないから......」

それから優は、深く深呼吸をして

「今は背も低くて、頼りない僕だけど、必ず渚を守るから。だから、僕の彼女になって下さい。」

私は言葉にならなかったけど、何度も大きく頷いた。


「ねぇ。これって僕へのチョコ?」

あ......さっき落としちゃったチョコ。
優が拾ってたんだ。

「うん。」って私が言うと、食べて良いって聞くから頷いた。

チョコを一つ取り出して、口に入れる。
不味くないかな?不安そうに見つめていたら、優は

「美味しいよ。」と言ってくれた。

「本当?」って聞くと、優は顔を近付けてきて、優しくキスをしてくれた。

「んっ......」

甘いチョコの味がした。



あっ。そうだった!
「私も大好きだよ!」って優の耳元で言ったら、優はもう一度キスをしてくれた。


ねぇ......優?来年は私がバレンタインにチョコをあげるね?



いつか私を守れる王子様になってね?
王子だった私を姫にさせて......

でも

暫くは私が守ってあげるわ!お姫様?
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