たんぽぽ
今日は昨日より泣いているみたいで、鳴咽が酷い。
それでも、俺はお構いなしに話し掛け続けた。
「泣いてても仕方がない。」
「……ひっ……」
「昨日も言ったが、言わなければ伝わらない。」
「うっ……うっ……」
「おまえには言葉が足りない。」
「…………。」
鳴咽が止まったようだ。
俺は少し起き上がって少女Aの方を向いた。

俺は目を疑った。

少女Aはペンキらしきものを頭から被っている。
まさに絵に描く虐めだ。
昨日は水、今日はペンキか。
俺はやけに冷静だった。
そして少女Aに言った。
「洗わないのか?」
「…………。」
「取れなくなるぞ。」
「…………。」
俺はだんだんいらついてきて、でも、なぜか冷静に、少女Aの腕を掴んで引っ張った。
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