たんぽぽ
俺は羽織っていたブレザーを少女Aに渡した。
さすがに、ペンキの着いた制服は可哀相だったからだ。
「それ、貸してやるから。おまえのブレザー脱いで。」
「…………。」
俺が言った言葉が通じてないのかしらないが、渡されたブレザーを見つめて動こうとしない。

あー…
イライラする気も失せたんだろうか。

俺は『はぁ』と一つため息をつくと、少女Aに説得するように言った。
「俺は迷惑しない。…ていうより、着替えてくれない事の方が迷惑だ。」
「…………。」

人間不信ってのは、やっぱりなかなか心開かねぇか…。
まったく………。
マジで俺じゃんか…………。

俺は本当に自分を見ているようで、なんだか気持ち悪い感じがした。
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