たんぽぽ

しかし、このまま着替えてもらわないわけにもいかないので、少女Ａに説得を続けた結果、なんとかブレザーを着替えてくれた。
もちろん、会話はなし。
俺一方通行の話だ。

それから、俺は少女Ａが脱いだブレザーに付着しているペンキを軽く水洗いして、美術室に干した。

あ−久しぶりに色々した。
疲れた。
眠すぎる。

そう思い、俺は自称『特等席』であるソファーに横になった。
横になると、いつものようにカタカタと肩を震わせながらソファーの近くに座る少女Ａに気付いた。

俺はなんだか変わったみたいだ。
優しさが作られたようだ。

「少女Ａ。座れよ。制服汚れるぞ。」
「……？……」
自分が『少女Ａ』と呼ばれていることに慣れたようで、少女Ａは物凄い勢いで振り返った。