たんぽぽ


「…………やべぇ。」
目が覚めたのは外が暗い時。
春でこの暗さなら、たぶん7時はまわっているだろう。

まったく…。
久しぶりに無駄な労力使ったから、疲れたし……。

俺は首や肩をコキコキと鳴らした。
そして大きな伸びをした後にふと横にいるものに気付く。


そう。少女Aはまだそこに座っていた。


「何やってんだよ。」
「…………。」
「おい。」
「……………す−……」
「は?」
少女Aは寝ていた。
泣き疲れた子供みたいな顔で。
少女Aの顔には何筋もの涙のあとがあった。
筋というには多すぎる、大量のあと。

コイツは今までにどれだけの涙を流してきたんだろう……。

俺は知らないまに涙のあとをなぞっていた。
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