たんぽぽ

朱詩は俺に似ている。

そう。
小学生の頃の俺に。

いつでも一人で部屋の隅で泣いて、孤独だったあの頃の俺に。

だからほっとけないんだ。

だから思い出すんだ。

朱詩。
お前は何故そんなに泣いている?

辛いなら無関心になればいい。

我慢しているなら、我慢しなければいい。

人間不信だっていい。

だって、それが朱詩 摂南っていう一人の特徴なんだから。

変えなくていい。

気にしなくていい。

なのに何故お前は泣き続ける?


俺は頭の中の朱詩に問い掛けた。
当然、想像の中の朱詩だ。
答える事はない。
けど俺はたくさん、たくさん問い掛けた。

意味がないのは分かっていたのに。

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