水玉に恋をした
「す、すいません!! 大丈夫ですか?」
慌てて小太郎を止めに入った俺に、大きな瞳の少女が動きを止めてこっちを見た。
透き通るようなチョコレート色の瞳に、きっと俺が映っていた。
「……このコ、なんて名前?」
ふわりと、やわらかい可愛らしい声だった。
ドキドキと心臓の音が速くなって俺の耳にやけに響く。
「こ、小太郎、……マメ柴なんだ」
「小太郎くん、ヨロシクね!!」
はしゃぐ小太郎が腕の中で暴れている。
女の子は、俺の腕の中の小太郎の頭を撫でてくれている。
同い年くらい、でも、近所にこんな女の子見たことない、こんな田舎町で顔を知らない同世代の子はいないはずだった。
「もしかして、転校生?」
「え!? そうだけど、どうして?」
暴れていた小太郎を放してやりながら、俺は少女を見た。
「うん、ここって田舎だから、何でも筒抜けだんだよ」
それが煩わしくて、でも、安心出来る所なんだけれど……。