水玉に恋をした

「す、すいません!! 大丈夫ですか?」



 慌てて小太郎を止めに入った俺に、大きな瞳の少女が動きを止めてこっちを見た。



 透き通るようなチョコレート色の瞳に、きっと俺が映っていた。



「……このコ、なんて名前?」



 ふわりと、やわらかい可愛らしい声だった。



 ドキドキと心臓の音が速くなって俺の耳にやけに響く。



「こ、小太郎、……マメ柴なんだ」



「小太郎くん、ヨロシクね!!」



 はしゃぐ小太郎が腕の中で暴れている。



 女の子は、俺の腕の中の小太郎の頭を撫でてくれている。



 同い年くらい、でも、近所にこんな女の子見たことない、こんな田舎町で顔を知らない同世代の子はいないはずだった。



「もしかして、転校生?」



「え!? そうだけど、どうして?」



 暴れていた小太郎を放してやりながら、俺は少女を見た。



「うん、ここって田舎だから、何でも筒抜けだんだよ」



 それが煩わしくて、でも、安心出来る所なんだけれど……。




< 4 / 5 >

この作品をシェア

pagetop