僕らの宇宙戦艦奮闘記


『…敵戦艦…消滅』


 村山君の静かな声が響いた。


 煙幕が晴れた後に現れるのは、何もない暗礁区域。


「逃げた…。」


 さすがは工作船。


 勝てないと思えば、即退散する。


 無論、工作船である以上は戦闘機能はおまけみたいなものなので、そうでなければ困るのだが。


『ワープ装置…向こうは使えるの…。』


 ホムラにもついてはいるものの、いまだ使い方がよく分からない、ワープ機能。


 向こうは、使いこなせている。


 というより…向こうがバリアをはれていたってことは、こちらもはれていたんじゃない?今更だけど…。


『向こうが、堅実派で助かったぜ。』


 雄二がやれやれとため息をつく。


 まったくだ。下手に特攻なんてされていたら、こちらもタダでは済まなかっただろう。


『なんだったんだろう?』


 宇治原君の言葉。


 さぁ、そればっかりは分からない。


『生け捕りに出来れば…うちらのホムラも、もっと…。』


 美並はそんなことを言うが、正直逃げてくれてホッとしているのは、自分だけではあるまい。


 誰が乗っているのか?


 下手したら、自分たちは人殺しになってしまうかもしれなかったのだ。


『本当に通じた。バリア張ってたんじゃなかったのかよ?』


 って、村山君も今更何言ってんの?


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