僕らの宇宙戦艦奮闘記
事の始まりは、今から15年前に当たる。
宇宙で発見されたそのクワガタのような形をした謎の建造物は、太平洋上に不時着し、どういう思惑があったのか知らないが、小さな島国の領海で停止してしまった。
国際法により、所有権は一時的に日本が有することになったのだが、とにかく動かし方が分からないことと、誰も予想しえなかった未知との遭遇で世界中が大パニックに陥った。
様々な研究機関が入り浸り、ハンバーガーとラーメンとボルシチの国が『こんな危険なもの日本に置いておけるか!』とよく分からない主張をしてきて、謎の建造物の所有権をめぐって大喧嘩をしたりしたが、結局、何をやっても研究が進まないうえに、クワガタを置く施設建造やらのお金も結構な膨大な額になるということで、日本の所有権のまま放置されることとなった。
なお、この時から、このクワガタのような形をした謎の建造物は宇宙戦艦だろうという憶測はついていた。
真っ赤なボディをしたその船体の左右舷にはまったく同じ位置に4つの砲門が付いており、ミサイルの発射台らしき物体もいくつか見つかっていた。
クワガタの「ハサミ」の部分は超高圧エネルギー発生装置だということが安易に予想ができたし、それがこの戦艦の主砲発射装置だということもにわかに騒がれていた。
ハサミとハサミの距離は約200メートル。
主砲発射台が二門という考え方もできたが、もし、SFアニメでよく見るようなハサミとハサミの間でエネルギーを溜めて撃つ形だとしたら、予想できる全長は100メートルを超える。
そのような巨大なエネルギー弾を撃たれた日には、たとえ、人類最強の兵器である核爆弾をもってしても、防ぎきることは難しいだろう。
だが、この戦艦の威力はそんな人類の予想をはるかに超えていたということが、すぐに判明する。