僕らの宇宙戦艦奮闘記


「冗談ではありませんわ!!!」


 花子は多分、生まれてこの方…いや、これから先も、こんな大声を出すことはないのではないかと思えるぐらいの声を張り上げて吠えた。


 思わず、目をつぶって両耳をふさぐ、理事長と、副理事。


「あんた…あんなに艦長の座にこだわっていたじゃないか?なんで、ここにきて、そんなことを…。」


「あの艦に乗ったこともない人たちが…あの艦の中で何が起こったのかも分からないような人たちが…何を勝手に決めていらっしゃるのですか?」


 いつの間にか、花子の目には涙が浮かんでいた。


 ‥‥花子、右手つかんでてくれ。


 あの時、本当に怖かったのは、美並だけじゃない。


 花子も佐倉も、宇治原も、村山も、みんなみんな震えてた。


 怖くて、怖くて仕方なかった。


 斉藤が倒れた…山崎がいなかった。


 たった、それだけのことが、とても怖かった。


「今日、こうして平穏な日々が過ごせるのは、祐太さんが助けてくれたから。美並さんが、必死に戦ったから。斉藤さんが無茶をしてくれたから。カルラさんと佐々木さんが意地を見せてくれたから…なのに、なのに…その結果が、降板では酷すぎます。あまりに酷すぎます。」


 なんで、大人たちは結果だけしか見てくれないんだ。


 こんなに、頑張ったのに。


 みんな、みんなこんなに頑張ったのに、どうして怪我人を出した…そんな結果しか見てくれないんだ。


 斉藤雄二以外に、艦長を任せられる人間はいないのに…山崎祐太以外に、雅パイロットを任せられる人間はいないのに…。


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