僕らの宇宙戦艦奮闘記

「さて、これで一通りの役職が決まったわけだが、最後に雅のパイロットを発表する・・・まぁ、するまでもないけどな。」


 雅。


 戦艦ホムラの中で発見された、人型ロボットである。


 一応、戦艦ホムラにはピーチダックと呼ばれる無人の小型戦闘機が5台ついているが、それだけでは、細かな作業に不向きだったのか、一台だけ、人型ロボットが乗っていたのだ。


 全長25メートル、重量25トン。


 材質は戦艦ホムラと同じものと思える、巨大ロボット。


 汎用性に優れ、主な用途は戦艦ホムラを外からの修繕に使われていたと思われる。


 しかし、戦闘も想定されていたのか、雅にはミサイル、銃、ライフルなど、様々な武器が発見されている。


 先日、戦艦ホムラの中で発見されたガドリング砲も、雅の装備だというコトが判明した。


 ピーチダックと違い、独立した操縦系統を持ち、パイロットが一人必要となる。


 また、高い威力を持ちすぎるために、その運用を宇宙に限定される戦艦ホムラと違い、パワー調整が可能な雅は、災害救助支援などにも出撃要請されるまさにスーパーロボットなのだ。


 そのパイロットといえば、もう世界中が注目するスーパーヒーローである。


「清掃係りに・・・どうか僕は清掃係りに・・・。」


 そんなパイロット選出が誰になるのかと、教室中がある男に集中している最中。


 未だに、唯一名前を呼ばれていない、山崎祐太はひたすら、祈り続けていた。


「ということで、山崎祐太。」


「はい!」


 呼ばれた、とうとう呼ばれた。でも、僕は最後みたいだし、やっぱり清掃係りに・・・。


「お前が、雅のパイロットだ。」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・へ?


「えぇえええええ!!!」


 祐太は今日二度目の叫び声を上げていた。




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