僕らの宇宙戦艦奮闘記



「別に、意気込みとか、緊張してないかとか、そんなコト。」


「あら、つまらないコトですの。斉藤さんももっと気の聞いた返事をなされば、面白い記事が書かれたことでしょうに。」


 舵輪を握る美並のさらに前。


 戦艦の窓に並ぶように配置されているコンピューター類の右側は、オペレーター専用席となっており、そこにインカムをつけた伊集院花子が座っている。


「面白い記事書かれてどうするんだよ?俺は平凡でいいよ。高度5000で固定。目標太平洋沿岸。ぐるっと一周して帰るぞ。」


「了解、高度5000、目標太平洋沿岸」


 宇治原君、緊張してるな~。


 補欠オペレーターなんだから、テキトーでも良いのに…。


 やっぱり、メガネだからだろうか?


 焔学園は、戦艦ホムラが発見された、桜ヶ丘海浜公園近くに作られた学校である。


 そのため、太平洋は中学生の足でも歩いて30分程度の距離にあり、戦艦で進むには十分すぎる距離である。


 今日の出撃は言ってしまえば、ただのデモンストレーション。


 浮いて、動かし、着地すれば、それで十分なのだ。


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