僕らの宇宙戦艦奮闘記
「うち、副艦長なのに・・・。」
「私もナンバー3なのに…」
「俺だって、ナンバー4なのに…」
そうなのだ。どういう理屈なのか分からないが、操舵手というのは、なぜか副艦長のポジションなのである。
つまり、斉藤雄二が風邪を引いてしまったり、なんだかの理由で戦艦ホムラの指揮をとれなくなった場合、美並楓が艦長になるのだ。
さらに、美並までもが指揮不可能の場合は、司令官であるカルラが艦長も兼任することになる。
ちなみに、村山君が艦長になることは、艦橋組がほぼ全員休まない限り、こない。
「・・・・俺、今年は絶対学校休まないどこう・・・。」
雄二は自らの体調管理が、地球の危機に陥ることに恐怖した。
『ねぇ、主砲って聞こえたんだけど、撃っていいの?』
突然、雄二の前に男の子の顔が映し出される。
細めの短髪した、ちょっとぽっちゃりした男の子である。
「いやいや、吉田、アレは美並の暴言だ。まともに受けるな。」
この船は、トライアルモニターと呼ばれる、どこでもかしこでも勝手に画面が開いてそこから顔が映る仕組みである。
原理としては、空気の中にある水蒸気を一瞬にして固めてモニター化させているらしく、通信が終われば、そのモニターはあっという間に四散する。
当然、現代の地球の科学では再現不可能技術だ。
コレが戦艦の中ならどこでも使えるというのだから、この船に通信機らしい通信機がついてないのもうなずける。
『な~んだ、残念。』
吉田勇気。
砲撃担当科リーダー
正確は控えめで、ちょっと頼りない感じのする男子。
美並がなりたがっていた、砲撃手担当になってしまったため、もっぱら美並が目の仇にしている、ある意味、とっても可哀想な男の子である。