僕らの宇宙戦艦奮闘記


 ホムラのミサイルは、狙撃室と呼ばれる場所で、レーダーで敵を認識し、そこから発射する方式である。


 イージス型という戦艦が発明されてから、戦艦というのは一隻で、どれだけ多数の敵を同時に攻撃できるのか…というところに、その性能の優劣を求めるようになったが、ホムラが同時に相手にできる数は、優に100万を超す。


 簡単に説明するなら、ホムラはその一隻で全世界の軍隊相手に戦うことが可能なのだ。


 ゆえに、砲撃手担当官は、その腕前もさることながら、倫理的概念や『口堅さ』も審査対象になる。


 美並が砲撃手からはずされたのは、そこが大きいだろう。


 ちなみに、吉田勇気は砲撃手リーダーということで、この船の中でいや、世界中でただ一人と言っていい、『主砲』の撃ち方を知っている生徒…厳密に言うなら主砲発射のパスワードを知っている生徒である。(このパスワードは毎年変わる)


 これは、世界レベルでのトップシークレットであり、艦長である斉藤雄二ですら、そのパスワードを知らされていない。


 ある意味、雅パイロットである山崎祐太以上に、特権階級的な生徒でもあるのだ。


 むろん、戦闘となれば、超花形ポジションなのだが、まず戦艦ホムラは戦闘に参加することない。


「ええな、吉田君。砲撃手とか」


『よくないよ、美並さん。こんな、「とりあえず、あるよ」的なポジション。暇で仕方ないもん。あ~あ、僕も艦橋担当が良かったな~。』


「‥‥‥‥だったら、変わるか?」


 …村山君…。


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