僕らの宇宙戦艦奮闘記

「知らんよ。」


 答えたのは、副司令佐々木。


 ICI担当リーダーカルラが艦橋にいる段階では、ICI室の中で一番のトップ。


「俺も、知らん。」


 こんなところで、こんな大失敗。


 マスコミや見学に来た偉いさんたちに、どのような目で見られるか…。


 想像するだけでも寒気が走る。


「……はぁ、カタパルトハッチオープン。操縦、01、02、司令官カルラ。03、04、副司令佐々木。登録完了。」


 大きなため息の後、佐々木君は、コンピューターをカチャカチャといじり、ホムラの臨戦モードを完成させる。


 臨戦モードは、ピーチダック出撃可能になるだけではない。


 ミサイル、レーザー、機関銃…普段防がれている、それらすべての砲門が一斉に開いてしまうのだ。


 そんな喧嘩上等モードのホムラをこんな観衆が大勢見守る中さらして…外野から、現在どのような報道をされているのか…考えたくないな。


「お~、これが、臨戦モードかすごいな。」


 美並がのんきな声をあげた。


 それは、今の戦艦では理想とされながらも実現できない技術。


 ICI室と艦橋の複合型。


 本来、ICI室は戦闘指令室と呼ばれ、主な戦闘指揮はこの部屋で行うことになっている。


 現在の戦艦も、艦長は航行中は艦橋にいるが、戦闘になると、ICI室にこもり、そこから戦闘指揮を出すというのが、現在のスタイルだ。


 しかし、この戦艦はICI室と艦橋を複合することが可能となっている。


 艦橋構造物のような特別高い場所に艦橋を作る必要がなく、平面上にすべてを設置することが可能な宇宙戦艦だからできる技術だ。


< 42 / 140 >

この作品をシェア

pagetop