僕らの宇宙戦艦奮闘記
「と、そんなコト言ってる場合じゃないね。作戦時間は2時間。頑張ろう。」
安全装置であるワイヤーをつないだまま、雅は人工衛星『アジサイ』に接近。
十分に安全の確保が取れる位置で、ソーラーパネルのボルトを外していく。
活動している人工衛星をこんなに間近で見れるなんて、そうそうある経験ではないだろう。
今さらだけど、Sクラスになってよかったと思う。
「穴開いてるよ。デブリだよな。危ないなぁ~」
デブリ。宇宙空間に漂う、ゴミ。
それは、大昔に打ち上げられたスペースシャトルの残骸だったり、廃棄された人工衛星だったり、種類は様々だが、現在の人類にそれらを回収する手段はない。
結局のところ、いまだにスペースシャトルも人工衛星もお金のかかる「使い捨てパーツ」の寄せ集めなのだ。
一つ一つは小さいが、その速度がマッハを越えるので、その威力は絶大。
もっともホムラや雅のような戦艦クラスになると、あまり意味を成すものではないが、やっぱり油断は出来ない。
実際、祐太は宇宙服を着こんではいるものの、雅の外に出ることは禁止されている。
「よっと。」
雅は古いソーラーパネルを外すと、地球に向けて投げつける。
こうすることによって、大気圏で燃え尽きてしまい、デブリにもならないという仕組みだ。
そして、新しい腰につけてある、巨大トランクから、新しいソーラーパネルを取り出すと・・・。
「あれ?」
その瞬間、モニターのはしに気になるものが映り、祐太は手を止めた。
あれは・・・なんだろう?彗星?
でも、その割には近いような・・・。
「雄二。」
祐太は気になり、通信を開く。
『おぅ、祐太、どうし・・・ブー!!』
絶対殺す、雄二のやつだけは、後で絶対に殺す。